August 2018  |  01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31

020 トロンプ・ルイユ

フィレンツェでは相変わらず雨の日が続いてますが、カーニヴァルの時期が過ぎ、次第に暖かくなってきている気がします。

先日のヴィアレッジョからフィレンツェに帰る電車の窓から、ミモザの花が満開なのを見て、はっとしました。

日本にいると、梅の花から始まって、菜の花、木蓮、椿、桃、桜と次第に花が咲いていくのを見ながら、春が近づいていくのを感じていたような気がしますが、こちらだと春はいきなりです。

もう少し周りの変化に目を向けながら生活していきたいものなどと、思いながら散歩していると、そう言えばフィレンツェの街の中にも「注意して見ないと見えないもの」があったなと思い出し、カメラを持ち出して撮り歩いて来ました。



そのものとは、擬態する扉、です。


Via De' Ginori
メディチ・リッカルディ宮殿の裏門の脇の扉。
一応、壁のパターンが扉にも描かれていますが、あまり隠し切れてないですね。


Via De' Bardi
『車庫につき駐車禁止』のマークがあるけれど、それにしては小さい。
バイクでもしまってあるのかもしれません。


Via De' Benci
これは、今回は探しながら歩いてみて初めて気づきました。



部分拡大。何かの点検口かもしれません。



Via della Mattonaia
この扉が開いているのを見たことがないのですが、おそらくガレージだと思います。


部分拡大。
近くで見えると、木製なのが良くわかります。


Via dei Pilastri
ここもガレージの入り口。


色が塗られて残念なことになる前は、こんな感じで完璧に溶け込んでいました。
溶け込みすぎて、前に駐車する車が後を絶たなかったから、目立つようにしたのかもしれません。


ちなみに、表題のトロンプ・ルイユ (Trompe-l'œil) とは、いわゆる騙し絵のことです。

今回紹介した、擬態する扉も、このトロンプ・ルイユの一種のはず(・・・)です。



今後、また新たに発見したら、随時追加していく予定です。





019 リバティ様式

昨日の2月16日火曜日は、カルネヴァーレ(carnevale : 謝肉祭、いわゆるカーニバル)の最終日となるマルテディ・グラッソ (martedi' grasso : 肥沃な火曜日、いわゆるマルディグラ) という日でした。

そこで、カルネヴァーレで有名な、ヴィアレッジョ (viareggio) というフィレンツェから西へ電車で2時間弱のところにある海沿いのリゾートの街へ行ってきました。


普段は無駄に広い海沿いのこの散歩道が、カルネヴァーレ期間中は、沢山の仮装した人々と山車で埋まります。

ちなみに、この散歩道の右側に、店舗の層、海の家の層、砂浜、そして左側に、車道、ホテルの層、松林、住宅街の層が、海に平行に配置されています。





山車には何種類かのカテゴリーがあるのですが、大きいものは10メートルを軽くこすものも。

基本的に政治を辛辣に批判したものばかりです。


山車は基本的には紙の張り子なので軽く出来ていて、このようにトラクターで牽引されます。




さて、カルネヴァーレの話は程ほどにして、建築の話を。

ヴィアレッジョは、実はリバティ様式(Stile Liberty)の建築物の街でもあります。

リバティ様式とは、簡単に言ってしまえばイタリアにおけるアール・ヌーヴォーの事を指します。

この街のリバティ様式の建築物は、海沿いの散歩道に集中しています。



上階の曲線を描いた窓が、いかにもアール・ヌーヴォー、といった感じ。

この形状の屋根が、あちらこちらに見られます。


これは、どちらかというアール・デコ?


中央の道を進むと、奥に海の家があります。


部分拡大。


同じような形式の、でも多少簡素化された建物が立ち並んでいます。





部分拡大。こういったセラミック製のデコレーションも特徴のひとつです。




部分拡大。

018 マルカピアーノ

先日、リノベーションの仕事でマルカピアーノ (marcapiano) の位置を決める、という作業をしました。

マルカピアーノとは、直訳すれば、『階層を記すもの』(?)。

建物の表面を水平に走る線状の純粋な装飾で、中世後期以降、合理主義建築が台頭するまで利用されたもの、だそうです。


ルネッサンスの街、フィレンツェでは大抵の建物についているものなので、普段見慣れているはずなのですが、そうなると良く観察することもなく、記憶も曖昧というのが人の性・・・。


ということで、マルカピアーノの通常の位置が気になって、写真を撮りに出かけてきました。

撮影場所は、フィレンツェ郊外バーニョ・ア・リーポリ (Bangno a Ripoli) 近くの、ヴィッラ・マーニャ通り (Via di Villamagna) 。



(下から)一階の窓の下、2階の掃き出し窓の下、同じく窓の下、そして軒の下、の4つ。

写真をあらためて見て気づいたんですが、装飾が違うだけで、上の建物と全く一緒です。


これも同じだけれど、マルカピアーノは2階の窓の下と軒下の2つのみ。


これも同じ形。でもマルカピアーノは、半地階の窓の上部に1つ。
軒下のは、コーニスという別の装飾になっている気がします。


おっ、これも2階までは一緒ですね。
ということは、3階は増築したのかも?
2階の掃き出し窓の下、3階の掃き出し窓の下、そしておそらく軒下の3つ。


同じく。
2階の掃き出し窓の下に1つ。他の建物と違って、レンガの装飾になっています。



同じく。
2階の窓の下と軒下の2つ。

同じく。
2階の掃き出し窓の下と軒下の2つ。

同じく。
一階の窓の下、一階と2階の窓の中間、軒下の3つ。
それにしても、すごい色。青灰色とでも言うのかな?

同じく。
2階の窓の下、軒下の2つ。

日曜日にこの通りを自転車で通って、なんとなく気になって写真を撮りに戻ってみたのですが、型が同じ建物が違う装飾で並んでいたから目を引いたんですね・・・。

正直言って、写真を並べて見るまで気づきませんでした。
この一連の建築物の建物は、どれが雛形になったのか気になります。


これは、多分70年代80年代の建築物。突起こそしていないものの、色で表示されています。
(むしろマルカピアーノの部分はへこんでいる・・・?)
一階の戸・窓の上(まで素材を変えている)、3階の窓の下、4回の窓の下の3つ。

一階の窓の下まで色を変えているのと、軒下の2つ。
しかし、2階の右側の窓の下の装飾が何だか変です。ここにバルコニーがあったとでも言いたいのかな?ちなみに売り出し中。

これは、多分公営の集合住宅だと思います。
2階の窓の下、5階の窓の下、そして軒下の3つ。

これは、あまり住宅っぽくないけれど・・・?
2階、3階、4階の窓の下、そして軒下の4つ。


結論は、大抵のマルカピアーノは窓の下の線に合わせて設けられている、でした。
(=必然的に窓の大きさは全て同じ、ということになりますね。)





JUGEMテーマ:建築












007 スポルト

いよいよ冬本番に突入した感のあるフィレンツェからこんにちは。

街中のショーウィンドウもクリスマスモードに変わりつつあり、昨日から街路のクリスマスイルミネーションも設置され始めたようです。


さて、今回はフィレンツェの歴史的中心部の特徴的な建築物のある要素スポル(sporto) についてちょっとレポートしてみようと思います。

スポルトとは、直訳すると ”飛び出た”という意味で、建築物が外部にせり出した部分を指します。

つまり、下の写真のように、上階が地階部分より外に飛び出ていて、その下に荷重を支えるための構造が設けられているのがそれに当たります。


(Piazza San Pier Maggiore)

このスポルトが生まれた経緯を見つけることができなかったのですが、おそらくはより広い面積を持つ為に生まれたのだと思います。


ここは両脇にスポルトあり。


(Via dell'Oriuolo)


(Piazza di San Simone)


(Via dei Bentaccordi)

ちなみに、この写真の右側の建物は、昔の闘技場の輪郭を保ったまま建物が建てられたため、楕円を描いています。

航空写真でみるとこんな感じです。






(Via dei Neri)

こんなに狭い路地に飛び出しているので、迫力があります。
このスポルトの一部は階段になっているようです。

上の写真を反対側から見たところ。


(Via delle Brache)




(Piazza di Santa Croce)

正面から見たところ。


左側にあるサンタ・クローチェ教会に向けての奥行きを強調するために、右から左に向かって徐々に窓の間隔が狭まっていっています。


普段あまり意識して見ていないので、記憶を辿ってもどこにスポルトがあるのか曖昧だったのですが、いざ探してみると、(少なくともサンタ・クローチェ地区周辺には)意外とすぐにしかも結構な数が見つかったので驚きました。


スポルトを求めて街中を歩いていたら、ふとミラノのドゥオーモのすぐ近くにあるヴェラスカの塔 (Torre Velasca) のイメージが浮かび、古都フィレンツェと大都会のミラノが頭の中でつながりました。


(author : zoonabar / www.Flickr.com)

設計:B.B.P.R  1956-1958
下層部に店舗・オフィス、上層部はアパート




005 ロッジャ

 先週の土曜日に夏時間が終了し、急激に日が暮れるのが早くなりました。
日本との時差は7時間から8時間に変更です。

さて、今回はフィレンツェの歴史的地区に多く見られる建築要素である、ロッジャLoggia)を紹介します。

ロッジャ
とは、”少なくとも一面がオープンな、アーチと柱によって支えられた覆いのある空間で、特に16世紀の建築物によく見られる”(wikipedia)もので、フィレンツェで一番有名なのが、シニョーリア広場(piazza della Signoria)のシニョーリアのロッジャLoggia  della Signoria)ではないかと思います。

signoria

この形式のロッジャは公的なセレモニーなどに利用する目的で建造され、トスカーナの他の町でも、市庁舎のある広場に多く見られます。

その次に必ず目にすると思われるのが、ポルチェッリーノのロッジャLoggia del Porcellino)。
porcellino

このロッジャは、もともと絹や貴金属などを売る場所として建築され、18世紀には帽子、そして現在では、みやげ物や革製品を売る露天が立ち並んでいます。

さらにもうひとつ、忘れてならないのが、魚のロッジャ(Loggia del Pesce)。
pesce

もともとは、ポンテ・ヴェッキオの左脇のアルノ川沿いあった魚市場を共和国広場に移す際に建造されたもので、後にここチョンピ広場に再建造され、今ではバールのテーブルが並んでいます。


冒頭で述べたwikipediaロッジャの定義から少し外れますが、フィレンツェには、建物の最上階にもこのロッジャを見ることができ,その建物の多くは広場などに面している気がします。

たとえば、これはサン・ロレンツォ広場(Piazza di San Lorenzo)にて。san lorenzo


これは、アゼリオ広場(Piazza Massimo d'Azeglio)。ここは、窓ガラスで閉じられています。
azeglio


このふたつは、サンタ・クローチェ広場(Piazza di Santa Croce)。santa croce 2
santa croce1


サンタ・マリア・ノヴェッラ広場(Piazza di Santa Maria Novella)。
ここのロッジャもガラスで閉じられています。



中央郵便局裏のダヴァンツァーティ広場(Piazza dei Davanzati)。



これも、ロッジャの一種?コロンナ通り(Via della Colonna)にて。





一方通行の狭い路地に面したロッジャつきの建物もあるにはありますが、基本的にはやはり眺めのいいところにある建物に設けられていると思います。

イタリア建築の大事な要素として必ず「室内からの外の眺め」があげらるので、この最上階にあるロッジャはおそらくは日をしのぎつつ景色を眺めながら多目的に活用する空間なのだと思います。

<<back|<12
pagetop