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049 クォーター

イタリア語では地区のことをクアルティエレ (Quartiere) と呼びます。

この言葉は、カストロ (Castro) と呼ばれる古代ローマ時代の軍事防衛拠点が、中心を南北に走るカルディーネ (Cardine) と東西に走るデクマーノ (Decumano) と呼ばれる二つの大通りによって4つに分割されており、4分の一がイタリア語でクアルト (quarto) ということで、クアルティエレと呼ばれるようになり、そのカストロを起源として街が発展した後にもそのまま使われたようです。

フィレンツェの街も丘の上にたつエトルリア人の街フィエーゾレの防衛拠、フロレンティーナ (Florentina) が起源となっています。



フィレンツェでは、カルディーネが現在のローマ通り (Via Roma) とカリマーラ通り (Via Calimara)、
そしてデクマーノがストロッツィ通り (Via Strozzi),  スペツィアーリ通り (Via degli Speziali), コルソ通り (Via del corso) で、共和国広場 (Piazza Repubblica) のところで交差して広場 を形成していました。


他にカストロ起源の都市として、トリノ (Torino)、コモ (Como)、パヴィア (Pavia)、ベッルーノ (Belluno)、ブレ−シャ (Brescia)、ボローニャ (Bologna) があげられます。



一方、ヴェネツィアでは地区のことをセスティエレ (Sestiere) と呼びます。

というのも、ヴェネツィアでは、地区が4つではなく6つに分割されており、6分の一をセスト (sesto) と言うからです。

他にセスティエレが使われていた街では、同じく商人の町ジェノヴァ (Genova) と、ミラノでも昔は使われていたようです。



他の地区の呼ばれ方として、シエナ (Siena) の街のコントラーダ (Contrada) があげられます。

シエナには17のコントラーダがあり、7月2日と8月16日にパリオ (Palio) と呼ばれるコントラーダタ対抗の競馬のようなものが行われることで有名です。



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さて、気づけばこのブログを初めて1年が経ち、記事もそこそこ溜まってきたので、暫定的にカテゴリー毎に分類してみました。

今後もなるべく色々なことを見て記事にしていこうと思うので、よろしくお願いします。




JUGEMテーマ:イタリア








025 建築士

今回はイタリアでの建築士について。



イタリア語で建築士のことを、アルキテット(Architetto)といいます。

こちらでは、アルキテットは職業としてかなり尊敬される部類に入るので、どちらかというと建築家という言葉がしっくりするかもしれません。

日本のように1級、2級と階級分けされておらず、基本的に大学を卒業すれば建築士の試験資格が得られるので、実務を始める前、もしくは就職してすぐに試験を受けるというパターンが多いようです。



イタリアには、アルキテットの他に設計に携わる仕事として、
インジェニエレ(Ingeniere)とジェオメトラ(Geometra)があげられます。

インジェニエレとは、いわゆるエンジニアのことで、つまり構造設計家です。

ジェオメトラは、直訳すると土地測量士、なのですが、彼らもアルキテットと同じように設計業務をすることができるのです。

インジェニエレになるには、アルキテットと同じく大学卒業が必須ですが、
ジェオメトラになるには、リチェオ(liceo)という、高校にあたる教育機関(実際には高専ぐらいのレベルの授業をやるようです)を卒業すれば試験資格が与えられます。



余程優秀でない限り卒業するのに何年もかかるアルキテットやインジェニエレに比べて、ジェオメトラは高校卒業後の若いうちから実務経験を積むことになり、大学で地元を離れるということもなく、親の家業を継ぐということも多いので、必然的に地域との結びつきが強く、それぞれの地域でかなりの権力を持っていたりすることが多いです。

そして、その地域の役所との結びつきから、プロジェクトにおいてジェオメトラに役所の書類申請を担当してもらうことも多いです。
(その方が申請がスムーズに行くのです・・・)


また一般的には個人住宅の設計をアルキテットに依頼するなんてとんでもない、という考えがあるようで、一般的な家庭の住宅の設計はジェオメトラが担当することが多く、地方に行くほどこの例は顕著な気がします。

アルキテットに出来てジェオメトラに出来ないのは、たしか教会などの文化的施設のみで、感覚的には、日本での一級建築士がアルキテット、2級建築士がジェオメトラと言っても良いかもしれません。



このように、イタリアは一見、建築士が輝かしい活躍をする国のように見えますが、意外と同業者のライバルが多くて大変なのです。

















011 イタリアの建築基準法


昨日の12月8日は無原罪の御宿りという祝日でした。

簡単に言うと、聖母マリアがキリストを妊娠した日、です。

月曜を休んで4連休にした人も多かったようで、この連休中に大半のイタリア人は、クリスマスプレゼントの買い物に精を出したものと思われます。


さて、先月こちらである集合住宅のプロジェクトに携わったのですが、その時こちらの建築基準法に少々苦労させられまして、折角なので初歩的なところだけ、おさらいも兼ねてこちらにも記述しようと思います。


1)採光・換気

人が継続的に利用する居室は、窓の開口可能面積がその居室面積の1/8以下であってはならない。
(※この、窓の開口可能面積÷居室面積の数値は R.A.I (ライ) と呼ばれています。)

居室が屋根裏で天窓などで採光する場合は1/12まで可。

バスルーム・台所の場合は、(人工換気などの)機械で補完することも可能だが、
台所は窓の開口可能面積が1平方メートル以上でなければならない。


2)天井の高さ

人が継続的に利用する居室は、高さが2.70メートル以下であってはならない。
居室の高さが均一でない場合は、平均値が2.70メートル以下であってはならず、また最低値も2.40メートル以下であってはならない。
また2.70メートル以下の部分が居室の床面積の50%以上あってはならない。


バスルーム・台所などの場合は、2.40メートル以下であってはならない。
高さが均一でない場合は、平均値が2.40メートル以下であってはならず、また最低値も2.20メートル以下であってはならない。
また2.40メートル以下の部分が居室の床面積の30%以上あってはならない。

二つ目のバスルームの場合は、平均値2.20メートル、最低値1.80メートルでも可。

その他の、物置などの部屋の場合は1.80メートルが限度。

1)2)に関しては、歴史的建築物などのリノベーションの場合は、現状そのまま、もしくは現状よりも状況が悪化するのでなければ、上の条件を満たさなくても問題ないようです。

日本に帰る度にしばらく違和感を感じるのが、天井高です。
それにしてもイタリア人は、決して身長の高い民族ではないのに、天井高最低2,70メートルは高いですよね。



3)床面積


住居の最低面積は居住人数が4人までひとりあたり14平方メートルで、それ以降ひとりあたり10平方メートル
(つまり4人家族の場合は、最低56平方メートル必要で、5人の場合は66平方メートル。)

住居の居住人数が人の場合の最低面積は28平方メートル
その内、居室・キッチン・寝室の総床面積は最低24.50平方メートル、バスルームは(前室もあわせて)最低2.50平方メートル。

住居の居住人数が人の場合の最低面積は38平方メートル
その内、居室・キッチン・寝室の総床面積は最低29.50平方メートル、バスルームは(前室もあわせて)最低2.50平方メートル。

ここらへんの細かい法規は、一フロアに一戸のような歴史的な建築物が、沢山のミニアパートに分割されるのを避ける為に作られたのではないかと思います。


人が継続的に利用する居室の、種類別における最低面積は、

シングルベッドルーム 平方メートル
ダブルベッドルーム 14平方メートル
居間 14平方メートル
台所(居間から完全に切り離されている場合) 平方メートル

その他の、人が継続的に利用する全ての居室は、平方メートル以下であってはならない。

バスルームの最低面積は(前室もあわせて)2.50平方メートルで、最低幅は1,2メートル。



以上です。
上にあげた建築基準法はフィレンツェ市の住居に関する部分を訳したものです。

建築基準法は自治体ごとにガイドラインに沿って設けられていて、フィレンツェ市のものはかなり細かいところまで書かれていると思います。


僕が携わったプロジェクトのある市の建築基準法は、フィレンツェほど制限は厳しくないのですが、大きい街でないせいか曖昧な記述が多く、逆にそこに困らせられました。

例えば、ベランダの面積は住居の総床面積のXXパーセントまで可、ロッジャの面積は住居の総床面積のXXパーセントまで可とは書かれていて、でもベランダとロッジャの定義の違いが表記されていない、といったような感じ・・・。


今回は室内のみに限定して記述しましたが、もちろん外部に関してもいろいろな法規があるわけで、この建築基準法のイタリアらしからなぬ厳しさが、現在のイタリア建築界の停滞の原因のひとつではないかと思います。

たまに、興味深い住居があったりしても、それは歴史的建築物のリノベーションであるために例外が適用されたか、もしくは違法で建築(・・・)した後に恩赦で合法建築物として見なされたものだったりします。

建築基準法によってイタリア人の住環境は改善されたであろうし、必要なものであるのに疑いはありませんが・・・。




最後に、前述のプロジェクトのレンダリングを載せておきます。































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